任意整理の生活への影響
1 任意整理が生活に与える影響の概要
任意整理をすると、任意整理後に完済してから5年程度、新たな借り入れ・クレジットカードの申込みが困難になる、他の人が借入れる際の保証人になることができなくなる、機関保証が必要とされる賃貸借契約が困難になるという影響があります。
任意整理をすると、一定期間信用情報に事故情報が登録されるためです。
また、任意整理の対象となった貸金業者等においては、半永久的に借入れ等ができなくなる可能性もあります。
任意整理の対象となった会社がクレジットカード会社である場合には、任意整理に着手した時点でそのクレジットカードは利用できなくなります。
そのほか、再度任意整理をせざるを得ない状況に陥らないようにするために、家計を見直したり、お酒、タバコ、ギャンブルなどの依存症やその可能性のあるものの治療をしなければならないこともあります。
以下、それぞれについて詳しく説明します。
2 事故情報が登録されることの影響
貸金業者やクレジットカード会社、金融機関は、お金の借入れの申込みがあった際やクレジットカードの申込みがあった際に、信用情報というものを確認し、審査を行います。
信用情報を確認した際、過去に債務整理を行った記録、つまり返済ができなくなったことがある記録(事故情報)が登録されている場合、貸付けやクレジットカードの作成を断ることになります(いわゆる、審査に落ちるという状態)。
信用情報を管理している期間はCIC、JICC、KSCの3つがあり、それぞれ保有期間が異なりますが、最も長いもので任意整理後完済してから5年間事故情報を保有しますので、この間は借入れ等が困難になるのです。
賃貸物件を借り入れる際に、家賃等の保証人の代わりに保証会社をつけるということがあります。
保証会社はクレジットカード会社であることが多いので、保証をするにあたり、賃貸物件を借りようとしている方の信用情報を参照します。
このときに事故情報が登録されていると、審査に落ちることがあります。
3 任意整理の対象となった貸金業者等に関する影響
先ほど、信用情報に登録された事故情報は、任意整理後完済してから5年で消える旨を説明しました。
もっとも、任意整理の対象となった会社においては、信用情報とは別に、過去に任意整理をした旨の記録を保管し続けていることがあります。
そのため、信用情報から事故情報が消えたとしても、任意整理の対象となった会社からの借入れは半永久的にできなくなる可能性があります。
任意整理の対象がクレジットカード会社である場合、そのクレジットカードは使えなくなりますので、公共料金などの支払いに使用している場合には、任意整理を開始する前に支払い方法を変更する必要があります。
4 生活状況の見直し
任意整理をしても、手取り収入よりも支出が多い場合や、不測の事態に備えた貯蓄を作ることができない状態である場合、将来再び借金をしてしまう可能性があります。
そのため、家計簿をつけるなどして支出を見直し、節約をしていくことも大切です。
また、お酒やタバコ、ギャンブルなどにお金を使っていて、やめることができない場合には、病院などで依存症治療をすることも視野に入れましょう。